USBハブのセルフパワーとバスパワーの違い。外付けHDDが認識しない原因を規格から整理する

ノートPCにハブを足したら、外付けHDDが認識しない。オーディオインターフェースが作業の途中で切れる。原因はハブの電源の取り方かもしれない。
結論 バスパワーはパソコン1ポートの電気をハブ本体と全ポートで分け合い、セルフパワーはACアダプタから電気を取る。マウス・キーボード・USBメモリならバスパワーで足りる。ポータブルHDD・SSD・バスパワーのオーディオインターフェースは、PCに直結するか、ACアダプタを挿したセルフパワーのハブへ。両対応のハブは、ACアダプタを挿さないとバスパワーで動く。
目次 / INDEX
バスパワーとセルフパワーの違い
違いはハブがどこから電気を取るかだけだ。バスパワーはパソコンのUSBポート1本から、セルフパワーはACアダプタを通してコンセントから取る。
| 項目 | バスパワー | セルフパワー |
|---|---|---|
| 電源 | パソコンのUSBポート(1本) | ACアダプタ(コンセント) |
| ハブ本体が使う電気 | パソコンからの電気から引かれる | ACアダプタから取る |
| 下流1ポートあたり(USB 2.0の規格) | 100mA | 500mA |
| 下流1ポートあたり(USB 3.2の規格) | 最低150mA(残りは配分自由) | 900mA |
| 実製品の合計(バッファロー BSH4A310U3BK) | 4ポート合計800mA以内 | 4ポート合計2,500mA以内 |
| 向く機器 | マウス・キーボード・USBメモリ・カードリーダー | ポータブルHDD・光学ドライブ・プリンター |
| 持ち運び | ACアダプタが要らない | ACアダプタとコンセントが要る |
mA(ミリアンペア)は電流の単位で、1,000mAが1A。表の「下流1ポートあたり」は、USBの規格書が決めている値だ。
USB 2.0の規格書では、バスパワーハブの外部ポートは1ポート100mAまでと決まっている。セルフパワーのハブは、各ポートに500mAを出さなければならない。USB 3.2の規格書だと、セルフパワーのハブが各ポートに出す量は900mAに上がる。
USB 3.2のバスパワーハブは、ハブ本体が使った残りを各ポートに自由に振り分けてよい。決まっているのは、1ポートに最低150mAを確保することだけだ。
両対応のハブはACアダプタを挿して初めてセルフパワー
店頭でよく見る「セルフパワー/バスパワー両対応」のハブには落とし穴がある。バッファローは、ACアダプタを接続しない場合はバスパワーモードで動作する、と書いている。
つまりACアダプタが箱に入っていても、挿していなければバスパワーだ。持ち運ぶときに外したまま、机に戻っても挿し忘れる、という使い方だと両対応の意味がなくなる。
セルフパワーにも弱点はある。コンセントが1口ふさがり、机から動かしにくい。バッファローは、パソコンと電源が連動する機器をつなぐと連動しない場合がある、とも書いている。
USBポートが出せる電気は規格で決まっている
ハブに入ってくる電気の上限は、上流のパソコンのポートが出せる量で決まる。その量はUSBの規格ごとに違う。
| 規格 | 電圧 | 電流 | 電力(5V×電流) |
|---|---|---|---|
| USB 2.0 | 5V | 500mA | 2.5W |
| USB 3.2(1レーン) | 5V | 900mA | 4.5W |
| USB 3.2(2レーン) | 5V | 1,500mA | 7.5W |
| USB BC 1.2(充電用ポート) | 5V | 1.5A(データ通信もできる充電ポートの最低値) | 7.5W |
| USB Type-C Current | 5V | 1.5A/3.0A | 7.5W/15W |
| USB PD | 最大20V(PD 3.1以降は48V) | 最大5A | 最大100W(PD 3.1以降は最大240W) |
USB 3.2の「1レーン」は、5Gbpsや10Gbpsの普通のUSB 3.xのポートだと思っていい。2レーンで動くのは20Gbps(USB 3.2 Gen 2x2)などごく一部なので、多くの人は900mAの行が自分の基準になる。
表の値は上限だ。規格は、バッテリーで動くパソコンなどのポートが100mA(USB 2.0)や150mA(USB 3.2)しか出さないことも認めている。
「USB-Cだから3A出る」とは限らない
USB-Cのポートなら1.5Aや3Aが出る、と思いがちだ。ところがUSB Type-Cの規格書は、どのポートでも必須なのはUSB 2.0とUSB 3.2の値だけと書いている。
1.5Aと3.0Aは対応していれば使える選択肢で、USB-Cの形をしていても900mAまでのポートはありうる。PDのW数や、5A流せるケーブルの見分け方はUSB-Cの規格の違いをまとめた記事に分けて書いた。
ハブ自身も電気を使う
見落としやすいのがここ。ハブは中に制御用のチップを持っていて、それ自体も電気を食う。
USB機器メーカーのシステムトークスは、バスパワーのハブでは、パソコンからの電流をハブ自体とつないだ機器で分け合う、と書いている。例えばハブ自身が300mA使うなら、500mAのうち機器に回るのは200mAだけ、という説明だ(300mAは仮の数字)。
バスパワーのハブが4ポートまでの理由
USB 2.0の規格書には、バスパワーのハブの電気の割り振りが図で載っている。上流から来る最大500mAを、ハブの制御部に100mA、外部ポート1つにつき100mAずつ配る。
だから外部ポートは4つが限界で、規格書は4つを超えるならセルフパワーにする必要があると書いている。バスパワーのUSB 2.0ハブに4ポートの製品が多いのは、これが理由だ。
実製品の数字で見る
バッファローのBSH4A310U3BKは、セルフパワーとバスパワーの両方で動く4ポートのUSB 3.2 Gen 1ハブだ。仕様には、バスパワー時は4ポート合計800mA以内、セルフパワー時は4ポート合計2,500mA以内と書いてある。
4ポート合計の800mAは、USB 3.0のポート1つぶんの900mAより少ない。USB 3.2の規格では、高電力の機器は1台で900mAまで引いてよいことになっている。
バスパワーで4ポートあっても、電気を食う機器を1台挿しただけで合計を超えうる、ということだ。同じハブでACアダプタを挿せば2,500mAまで増え、1ポートあたり最大900mAになる。
USB-Cハブのパススルーも引かれる
USB-Cハブに充電器を挿してノートPCを充電する使い方(パススルー)でも、ハブは自分のぶんを先に取る。Anker 332 USB-Cハブの公式ページには、ハブ本体に15Wの給電を要するため、実際の出力は最大85Wとある。
100Wの充電器を挿しても、ノートPCに届くのは最大85W。充電器のW数に余裕を持たせたいなら、大学生向けのUSB-C充電器の選び方の目安が使える。パススルーの仕組みそのものは、USB-Cハブのおすすめ(ドッキングステーションとの違い)で表にしている。
ハブ経由で電力不足になりやすい機器
メーカーが自分で「ハブ経由はやめて」と書いている機器がある。原文を集めると、だいたいこう分かれる。
| 機器 | 主な電源 | メーカーの記述 | つなぎ方 |
|---|---|---|---|
| マウス・キーボード・USBメモリ・カードリーダー | USBの電気 | 消費電力の少ない機器として、バスパワーのハブ向きに分類(サンワダイレクト・バッファロー) | バスパワーのハブでよい |
| ポータブルHDD | USBの電気 | バスパワーのハブには接続しない(バッファロー) | PCに直結か、ACアダプタを挿したセルフパワーのハブ |
| ポータブルSSD・ポータブル光学ドライブ | USBの電気 | 一般に消費電力が900mAを超え、モニター内蔵のハブでは使えない(I-O DATA) | PCに直結 |
| 3.5インチの据え置きHDD | ACアダプタ | AC100V、消費電力6.4〜8.1W(typ)(I-O DATA HDD-UT) | どちらのハブでもよい |
| バスパワーのオーディオインターフェース | USBの電気 | ハブを使わず直接つなぐ(Focusrite・Steinberg) | PCに直結 |
ポータブルHDD・SSD
バッファローのFAQは、USB給電ケーブルが付いていないポータブルHDDなら、セルフパワーのハブに接続すると案内している。同じFAQに「バスパワータイプのUSBハブには接続しないでください」とはっきりある。
I-O DATAのポータブルHDD「カクうす」HDPX-UTSシリーズの仕様にも、USBハブにつなぐ場合は別売のACアダプタが要る場合がある、と書いてある。このハブにはモニターやキーボードにあるUSBポートも含むと明記されている。大学生向けの外付けHDDで1位に置いているのも、このシリーズだ。
モニターのUSBポートもハブの一種だ。I-O DATAは自社モニターに内蔵したハブについて、ポータブルSSD・HDD・光学ドライブには使えないと書いている。理由は、これらが一般に給電上限の900mAを超えるから。
外付けSSDをモニターの裏に挿しっぱなしにしたい人は、ここで引っかかる。教材DVDを読むMac対応の外付けDVDドライブも光学ドライブなので、モニターのUSBポートではなくPCに挿す。
ハブを使っていなくても足りないことはある。バッファローは、ノートPCで動かないならPCにACアダプタを接続する、という確認手順も挙げている。
3.5インチの据え置きHDD
3.5インチのHDDは、付属のACアダプタで動く。バッファローは、つないだ機器がACアダプタを使う場合、ハブは電源を供給せずデータ信号だけをやり取りする、と書いている。
I-O DATAのHDD-UTシリーズの消費電力は、2〜8TBで8.1W(typ)。USB 3.0のポート1つが出せる4.5W(5V×900mA)の倍近くあり、USBの電気だけでは最初から足りない。だからACアダプタが付いていて、ハブの電源方式に左右されない。
オーディオインターフェース
Focusrite Scarlett 2i2(第4世代)のユーザーガイドには、PCのUSBポートが900mAを出せない場合に備えて5V DCの電源ポートを付けた、とある。USBアイコンが赤く点滅したら電力不足で、ハブ経由ではなくPCに直接つなぐよう書いている。
Focusriteのサポートページの基本は、ハブは避けて直接つなぐこと。どうしてもハブを使うなら自前の電源を持つハブを試し、安定するものが見つかるまで何台か試す必要があるかもしれない、としている。
上位の16i16・18i16(第4世代)はバスパワーで5V/3Aを要求し、ハブやアダプタを挟むと電源が入らないことがある。
Steinberg UR22MK3の取扱説明書にも「USB ハブは使わず、直接接続してください。」とある。機種の選び方はオーディオインターフェースのおすすめ記事で、バスパワー動作かどうかも含めて比べている。
マウス・キーボード・USBメモリ
このあたりはバスパワーで足りる。サンワダイレクトもバッファローも、消費電力の少ない機器としてバスパワーのハブ向きに挙げている。
ただしI-O DATAは、USBメモリが認識しないときの確認として、ハブなどにつないでいるならPC本体に直接つなぐよう案内している。原因を電力不足と断定しているわけではないが、困ったら直結で試すのはどの機器でも同じだ。USBメモリを選ぶ段階では、ハブの電源はほとんど気にしなくていい。
電力不足のときの症状と確かめ方
メーカーが電力不足の症状として挙げているのは、次の3つだ。
- 認識しない・動作が不安定:サンワダイレクト、システムトークス
- 突然切断される:Plugableは、外付けHDDで起きると最悪の場合データが消える、と書いている
- 電源が入らない:バッファロー(ポータブルHDD)、Focusrite(オーディオインターフェース)
怖いのは2つめの切断で、作業中のファイルが壊れることがある。HDDに書き込み中に切れるのが、いちばん避けたいパターンだ。
異音がしたら電源の入れ直しを繰り返さない
ポータブルHDDから「カシャン、カシャン」と音がするのは電力不足のことがある、とデータ復旧業者は解説している。ハブを使っているとよく起きる、とも書いている。
一方でバッファローは、異音が出ているHDDは回復が考えにくい、と異音を故障のサインとして扱っている。音がしたらまずハブを外して直結で確かめ、それでも鳴るなら電源のオンオフを繰り返さないほうが安全だ。
確かめる順番
- ハブを外して、機器をPCのUSBポートに直結する
- ノートPCならACアダプタを挿して、バッテリー駆動をやめる
- 直結で直るなら電力不足の疑いが濃い。ACアダプタを挿したセルフパワーのハブにするか、機器側のACアダプタや5V DC端子を使う
USB-CハブにPD充電器を挿せばセルフパワーになる?
USB-Cハブには、充電器を挿すUSB-Cポートが付いているものが多い。ここに充電器を挿したらセルフパワーになるのか、が気になるところだ。
規格の上では「ACアダプタ付き」だけがセルフパワーではない
USB 3.2の規格書は、セルフパワーのハブの電源として、DCジャックなどUSB以外のコネクタからの外部電源を挙げている。加えて、USB PDやUSB Type-C Currentから電気を取るものも含めている。
さらにUSB-IFの白書(2023年5月、Rev 0.9)には、電力の制約からUSB 3.2の認証はバスパワーのハブを認めてこなかったとある。白書は、上流から3A以上のType-C Currentを受けるハブまで認証を広げるための指針だ。
白書の設計例では、上流から受ける12Wのうち、下流のUSB-CとUSB-Aに配ったあとハブの回路に残るのは1.75W。あくまで参考の例だが、USB-Cの15W級でもハブの中はぎりぎりなのが分かる。
下流ポートが強くなるかは製品次第
PD充電器を挿したとき、ハブのUSB-Aポートに出せる電流が増えるかどうかは製品によって違う。Anker 332の公式ページにも、USB-Aポートの給電量は書かれていない。
だから「PD対応のUSB-CハブだからポータブルHDDも安心」とは言えない。商品ページに**下流ポートの合計(○mA、○W)**が書いてあるかを見て、書いていなければ電気を食う機器は直結にしておくのが確実だ。
ハブ自身がノートPC用の電気を作っているわけではない点は、USB-Cハブのおすすめのドッキングステーションとの違いで書いたとおり。自前のACアダプタからノートPCまで充電する母艦が欲しいなら、それはドッキングステーションの領分になる。
買う前に確かめる3つ
- つなぐ機器が自前のACアダプタで動くか。動くなら、ハブの電源方式は関係ない
- USBの電気で動く機器を、同時に何台挿すか。ポータブルHDD・SSD・オーディオインターフェースが入るなら、直結かセルフパワー
- 商品ページの「バスパワー時 合計○mA」を見る。書いていなければ、その数字に頼った使い方はしない
マウスとキーボード、USBメモリくらいなら、普通のバスパワーのUSB-Cハブで足りる。ポートの数や映像出力で選ぶ段階に進むなら、大学生におすすめのUSB-Cハブ7選で、ポート構成と給電の仕様を並べて比べている。
出典(2026年10月5日時点)
- USB Type-C Cable and Connector Specification Release 2.0(USB-IF)
- USB 2.0 Specification(USB-IF)
- USB 3.2 Revision 1.1(USB-IF)
- Battery Charging v1.2 Spec(USB-IF)
- USB Charger (USB Power Delivery)(USB-IF)
- USB Upstream Facing Port Powered Hub White Paper Rev 0.9(USB-IF)
- セルフパワー・バスパワーとは(USBハブ)(バッファロー)
- BSH4A310U3BK 製品ページ(バッファロー)
- 購入直後にHDDが正常に動作しない(バッファロー)
- USB接続ポータブルハードディスクが認識されません(バッファロー)
- 外付けハードディスクが認識されない 故障を疑う前のチェックポイント(バッファロー)
- ハードディスクの異音(バッファロー)
- HDPX-UTS シリーズ 仕様(I-O DATA)
- HDD-UT シリーズ 仕様(I-O DATA)
- USBハブが認識しない、接続したデバイスの動作が不安定になる(I-O DATA)
- USBメモリーがパソコンに接続しても認識されない(I-O DATA)
- USBハブの選び方(サンワダイレクト)
- USBハブの電源について(システムトークス)
- USB 機器の「セルフパワー」「バスパワー」とは(Plugable)
- Anker 332 USB-C ハブ (5-in-1)(Anker Japan)
- 2i2 4th Gen hardware features(Focusrite)
- Troubleshooting USB audio interface issues(Focusrite)
- Scarlett 16i16 and 18i16 4th Gen USB-C bus power requirements(Focusrite)
- UR22MK3 / UR12MK3 ユーザーガイド(Steinberg・ヤマハ)
- ポータブルHDDの電源不足(パソコンサポートやまもと)
よくある質問
USBハブのバスパワーとセルフパワーの違いは?
電気をどこから取るかが違う。バスパワーはパソコンのUSBポート1本から電気をもらい、それをハブ本体と全ポートで分け合う。セルフパワーはACアダプタでコンセントから電気を取るので、各ポートに規格どおりの電流を出せる。
外付けHDDをハブにつなぐとき、セルフパワーは必要?
USBの電気で動くポータブルHDDなら、PCに直結するかセルフパワーのハブを使う。バッファローは「バスパワータイプのUSBハブには接続しないでください」と書いている。ACアダプタで動く3.5インチの据え置きHDDなら、ハブはデータのやり取りだけなので、どちらのハブでも電力の問題は起きにくい。
セルフパワー・バスパワー両対応のハブは、ACアダプタを挿さなくてもいい?
挿さないとバスパワーで動く。バッファローの製品では、同じハブでもACアダプタありで4ポート合計2,500mA、なしだと合計800mAまで下がる。電気を食う機器をつなぐなら、ACアダプタを挿して使う。