Obsidian Excalidrawの使い方【2026年8月版】貼った図を直せない人へ

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実験レポートの装置図、電子回路の回路図、講義の概念図。理系の学生なら、ノートに図を入れたい場面は多い。よくあるのは別の作図アプリで描いて、スクリーンショットをノートに貼る運用だ。これで一応は残るが、あとで装置を1つ追加したくなった瞬間に詰む。貼ったのはただの画像なので、元データを探して、直して、書き出して、貼り直すという手間が毎回発生する。元データが見つからなければ描き直しだ。
Obsidianには、この問題を解決するExcalidraw(エクスカリドロー)というプラグインがある。手描き風の図をVault(Obsidianのノート置き場)の中で描き、あとから編集できる形のままノートに埋め込める。この記事では導入から埋め込みまでの手順と、標準機能のCanvasとどう使い分けるかを書く。内容は2026年8月時点のものだ。
結論 図は「画像として貼る」のではなく、「編集できるファイルとして埋め込む」。Excalidrawで描いた図はVault内のファイルなので、ノートに埋め込んだあとでも元の図を開いて直せば、埋め込み先の表示も自動で変わる。描き直しの手間がなくなるので、「とりあえず雑に描いて、あとで直す」が可能になる。
Excalidrawとは:Vaultの中に「編集できる図」を置く
Excalidrawは、もともとWebで人気の手描き風作図ツールで、それをObsidianの中で使えるようにしたコミュニティプラグイン(有志が開発する追加機能)がある。無料で、Obsidianのプラグインの中でも利用者の多い定番だ。
描けるのは、四角・丸・矢印・直線・フリーハンド・テキストといった基本要素。すべて手描き風のゆるい線で描画されるのが特徴で、これが実は理系ノートと相性がいい。きっちりしたCADのような見た目だと「完成品」を作りたくなってしまうが、手描き風なら授業中の板書レベルの雑さで描いて許される空気がある。まず雑に描く、が続けるコツだ。
大事なのはファイルの扱いで、描いた図は .excalidraw.md という拡張子のファイルとしてVaultに保存される。実体はMarkdownファイルの一種なので、ノートと同じ場所に、ノートと同じように置ける。別アプリの独自データフォルダに図が散らばる、ということが起きない。
導入:コミュニティプラグインを入れる
手順は3分で終わる。
- 設定を開き、「コミュニティプラグイン」で制限モードをオフにする
- 「閲覧」からプラグイン一覧を開き、Excalidraw を検索してインストール
- 有効化する
⚠️ コミュニティプラグインはObsidian本体とは別に更新されるため、画面や機能はバージョンで変わることがある。この記事と表示が多少違っても、流れは同じなので落ち着いて探せばいい。
有効化すると、左のリボンにExcalidrawのアイコンが増える。クリックするか、コマンドパレットから「新規ドローイングを作成」すれば白紙が開く。
最初の1枚:覚える操作は少ない
画面上部(または左側)のツールバーから道具を選んで描くだけだ。最初に覚えるのはこれだけでいい。
- 四角・丸・矢印・テキスト … 図のほとんどはこの4つで描ける
- 図形をつなぐ矢印 … 図形の縁から矢印を伸ばすと図形に接続され、図形を動かしても矢印がついてくる。ブロック図はこの機能でほぼ完結する
- ドラッグで選択して移動・コピー … レイアウトはあとから何度でも直せる
例えば実験の装置図なら、装置1つを四角+テキストで置き、配線や流れを矢印でつなぐ。10分もあれば形になる。見た目の細部を追い込む必要はない。あとから直せるのだから、今日は今日の理解が伝わる程度でいい。
ノートに埋め込む:ここがこの記事の本題
描いた図を授業ノートやレポートの下書きに入れるには、埋め込み記法を使う。ノート側に次のように書くだけだ。
![[実験装置図.excalidraw]]
これで、ノートを閲覧モードで開くと図がその場に表示される。画像を貼ったのと見た目は同じだが、中身は決定的に違う。表示されているのはVault内のExcalidrawファイルそのものなので、元の図を開いて修正すれば、埋め込んでいる全ノートの表示が自動で更新される。同じ装置図を「実験ノート」と「レポート下書き」の両方に埋め込んでいても、直すのは1箇所でいい。
表示が大きすぎるときは、幅をピクセルで指定できる。
![[実験装置図.excalidraw|400]]
修正したいときは、埋め込み元のファイルを開いて描き直すだけ。ファイル名で検索してもいいし、埋め込み表示から元ファイルへ飛ぶ操作も用意されている。「元データどこだっけ」がVaultの中で完結する。
提出用にレポートへ図を入れたい場合は、PNGやSVGに書き出す機能を使う。ここで運用のコツが1つある。書き出した画像は編集できない「ただの絵」なので、正本はあくまで .excalidraw ファイル、書き出しは共有のときだけと決めておくことだ。これを守れば「編集できる図が常に手元にある」状態が崩れない。
Canvasとの使い分け:白紙に描くか、ノートを並べるか
「二次元の平面に何かを置く」という意味で、Excalidrawは標準機能のCanvasと似て見える。実際、どちらを使うべきか迷う人は多い。区別は一言で済む。
Canvasは既存のノートを平面に配置して考える場所。Excalidrawは白紙に図そのものを描く場所だ。
| Canvas | Excalidraw | |
|---|---|---|
| 導入 | 標準機能・設定不要 | コミュニティプラグイン |
| 主役 | Vaultにある既存のノート・カード | その場で描く図形・矢印・テキスト |
| 得意なこと | 構成を練る・全体像を俯瞰する | 装置図・回路図・概念図を描く |
| 成果物 | 考えた過程(出口はノートへの変換) | 図そのもの(ノートに埋め込んで使う) |
| ノートへの埋め込み | 向いていない | ![[〜.excalidraw]] で本領発揮 |
レポートの構成をカードで並べ替えたいならCanvas、そのレポートに載せる装置図を描きたいならExcalidraw。「考える」と「描く」で道具を分けると覚えればいい。Canvas側の使い方はObsidian Canvasの使い方に書いた。
理系学生の使いどころ3つ
1. 実験の装置図
実験当日は雑にブロックと矢印だけ描いておき、レポートを書く段階で名称や寸法を足す。その日の記録とあとからの清書を、同じ1枚の上でやれるのがスクショ貼り運用との差だ。授業ノートの中に埋め込んでおけば、装置図と実験条件のメモが1つのノートに揃う。ノートの組み立て方はObsidianで授業ノートにまとめている。
2. 回路図・ブロック図
素子を四角で置き、接続を線でつなぐ。図形に接続された線は素子を動かしても追従するので、配置の試行錯誤が苦にならない。本格的な回路CADの代わりにはならないが、講義ノートやレポートに載せる説明用の回路図なら十分すぎる。
3. 講義の概念図
「この概念とこの概念がこう関係する」という構造は、文章より図のほうが一目で伝わる。矢印にテキストを添えて関係を書き込めば、試験前に見返すときの復習効率が変わる。図の中に数式を入れたい場面も出てくるが、ノート本文側の数式はLaTeX記法で書ける。書き方はObsidianで数式を書くを参照してほしい。
⚠️ 落とし穴3つ
⚠️ 書き出した画像を正本にしない。 PNGに書き出してそれをノートに貼ると、スクショ貼り運用と同じ「直せない図」に逆戻りする。ノートへの埋め込みは必ず ![[〜.excalidraw]] 形式で行い、画像書き出しは提出・共有のときだけに限る。
⚠️ スマホでの細かい作図は期待しない。 モバイル版Obsidianでも図は表示できるが、小さい画面で図形の配置や接続をいじるのはつらい。外では眺める・軽く手描きメモを足す程度にして、作図はPCでやると割り切ったほうがいい。
⚠️ コミュニティプラグインである以上、仕様は変わる。 標準機能のCanvasと違い、Excalidrawは有志の開発だ。更新で操作や表示が変わることもあれば、理論上は開発が止まる可能性もある。ただし図のファイルはVault内に残り、PNG/SVGへの書き出しという逃げ道もあるので、描いた資産が消えるわけではない。過度に恐れる必要はないが、「2026年8月時点の情報」という前提だけ忘れないでほしい。
今日の要点
- 図をスクショで貼ると直せない。Excalidrawならあとから編集できる形のままノートに埋め込める
- 埋め込みは
![[図の名前.excalidraw]]。元の図を直せば埋め込み先の表示も自動で更新される - Canvasは既存ノートを並べて考える場所、Excalidrawは白紙に図を描く場所。「考える」と「描く」で使い分ける
- 使いどころは装置図・回路図・概念図。手描き風なので雑に描き始めてよく、清書は同じファイルの上で続きからやれる
- ⚠️ 正本は
.excalidrawファイル・スマホ作図は割り切る・コミュニティプラグインの仕様変更には留意(2026年8月時点)
図が入るようになったら、次はノート本文の数式だ。手書きの数式をきれいに残す方法はObsidianで数式を書くにまとめている。
よくある質問
Excalidrawは無料ですか?導入は難しいですか?
無料です。Excalidrawはコミュニティプラグイン(有志が作る追加機能)なので、設定の「コミュニティプラグイン」から制限モードをオフにし、検索してインストール・有効化する手順が必要です。クリック数回で終わり、難しい操作はありません。ただしObsidian本体の標準機能ではないため、アップデートで挙動が変わる可能性がある点だけ頭に入れておいてください。この記事の内容は2026年8月時点のものです。
標準機能のCanvasとはどう使い分けますか?
Canvasは既存のノートやカードを平面に並べて「考えを整理する」ための機能で、Excalidrawは白紙に「図そのものを描く」ためのプラグインです。レポートの構成を練る・試験範囲を俯瞰するならCanvas、実験の装置図・回路図・概念図のように、それ自体が成果物になる図を描いてノートに埋め込みたいならExcalidrawが向いています。両方入れても競合せず、役割がはっきり分かれています。
描いた図はObsidianの外でも使えますか?
使えます。描いた図はPNGやSVGといった一般的な画像形式に書き出せるので、レポートに貼る・スライドに載せるといった共有は問題ありません。ただし書き出した画像はもう編集できない「ただの絵」です。正本(マスター)はあくまでVault内のExcalidrawファイルとして残し、提出や共有のときだけ書き出す、という運用にすると、あとから直せる状態を保てます。