Smart Composerの使い方【2026年10月版】

Obsidian Copilotの設定を済ませると、ノートの要約も構成の指摘もチャットで返ってくるようになる。ただ、提案はチャット欄に出るだけで、ノートに反映するのは自分だ。Smart Composerは、この提案とノートの間の距離を詰めるためのコミュニティプラグインだ。
結論 Smart Composerの核は、チャットよりも適用(Apply)のほうだ。AIの提案を差分(変更前と変更後の比較)で確認してから、ノート本体に反映できる。任せるのは体裁と整形までにして、内容の正誤は必ず自分が差分で確かめる。
目次 / INDEX
Smart Composerとは何か
Smart Composerは無料のオープンソースのコミュニティプラグインで、Obsidianのサイドバーにチャット画面を出す。ここまではCopilotと同じだが、特徴は次の3つだ。
- @でノートを指名して読ませる … チャット入力欄で
@を打つと、Vault内のノートやフォルダを選んで会話の文脈に入れられる。「今開いているノート」に縛られず、複数のノートを材料にできる - 提案をノートに適用できる … AIの提案に対して適用の操作をすると、どこがどう変わるかの差分が表示され、確認してから反映できる。チャット欄からのコピペが要らなくなる。これがこのプラグインの本体だ
- 接続先を選べる … Gemini・OpenAI・Anthropicなど複数の外部サービスに加え、自分のパソコンで動くローカルのモデルにも対応する。Vault横断検索(意味で探す検索)の機能も持つ
⚠️ 画面上のボタン名や配置はバージョンによって変わることがある。「提案→差分→確定」という流れの骨格を掴んでおけば、多少画面が変わっても迷わない。
プラグインの画面や外部サービスの料金は変わりやすいので、本文は2026年9月時点の内容として読んでほしい。
開発は止まり気味。入れる前に知っておく
READMEは、Smart Composerが1人の開発者によるもので、活発には開発されていないと明記している(2026年9月時点)。最新版は2026年1月26日の1.2.9で、要望や不具合報告にすぐ対応できないとも書かれている。READMEには、有志が続けている派生版(フォーク)の一覧へのリンクもある。
今すぐ動かなくなるわけではないが、Obsidian本体の更新で壊れても直らない可能性がある。ノートを直接書き換えるプラグインなので、Gitかバックアップで元に戻せる状態にしてから使う。
Copilotとの使い分けは、読むか書き換えるか
同じ「ObsidianのAIチャット」に見える2つだが、出力の行き先が違う。
Copilotでは、良い言い換えが返ってきたらコピーして、ノートに貼って、体裁を直す。AIに書かせたはずなのに、手を動かしているのは結局自分だ。
| Copilot | Smart Composer | |
|---|---|---|
| 得意なこと | ノートを読ませて聞く | ノートを書き換えさせる |
| 出力の行き先 | チャット欄(ノートは変わらない) | ノート本体(差分で確認して反映) |
| 典型的な場面 | 要約・穴の指摘・横断検索 | 清書・整形・表記の統一・追記 |
| 手が汚れない度 | 提案止まり。反映は手作業 | 反映までプラグインの中で完結 |
つまり、調べる・考える段階はCopilot、ノートを直す段階はSmart Composerと分けると、それぞれの設定や画面の複雑さに振り回されずに済む。両方入れて共存できるが、⚠️ Vault横断検索の索引は片方だけに作ること。
両方で索引を作ると、手間もAPIの無料枠の消費も二重になる。横断検索は先に運用を決めたCopilot側に任せ、Smart Composerは書き換え専門にする、という分担が分かりやすい。連携の方式の全体像はObsidianとAIを連携するにまとめた。
導入と初期設定で無料で動かすまで
1. プラグインを入れる
設定 → コミュニティプラグイン → 閲覧で「Smart Composer」を検索し、インストールして有効化する。⚠️ 名前の似たプラグインがあるので、作者名とダウンロード数を確かめてから入れる。
2. APIキーを設定する
APIキーとは、外部のAIサービスをプラグインのような外部ツールから呼ぶための鍵のことだ。無料で始めるなら、2026年8月時点ではGoogle AI Studioで発行できるGeminiの無料枠のキーが取りやすい。取得手順と注意点はCopilotの設定記事に書いたので、そちらを参照してほしい。
すでにCopilot用にキーを取った人は、同じキーをここでも使える。新しく取り直す必要はない。
Smart Composerの設定画面で、接続先(Providers)の一覧からGeminiを選んでキーを貼る。次に「Chat model」(チャットに使うモデル)と「Apply model」(ノートへの反映に使うモデル)を選べば準備完了だ。それ以外の項目は初期値のままでいい。
⚠️ 設定には「Connect your subscription」という、APIキーの代わりにClaudeやOpenAIの契約でログインして使う項目もある。ただしREADMEは、2026年1月からAnthropicが外部アプリからのログイン利用を制限しており、Claudeのアカウントが停止・制限された報告があると警告している。Claudeの契約をここでつなぐのはやめておく。
⚠️ キーの扱いはCopilotと同じで、貼ったキーはプラグインの設定としてVault内のフォルダに保存されることが多い。VaultをGitや同期サービスに乗せている人は、キー入りの設定ファイルが同期対象に入っていないかを確認しておく。
3. 短いノートで一度試す
チャットを開き、@ で適当な短いノートを指定して「このノートの誤字を直して」と投げてみる。提案が返り、適用の操作で差分が出れば設定は完了だ。
基本の流れは参照から確定まで4つ
Smart Composerの使い方は、この4歩の繰り返しに尽きる。
- 参照 …
@で対象のノートを会話に入れる。複数指定してもいい - 指示 … 「何を・どう変えるか」を具体的に言う。「良い感じにして」で済ませず「見出しを付けて箇条書きを整理して。本文の言い回しは変えないで」のように、変えてほしくない部分も言うのがコツだ
- 差分 … 返ってきた提案を適用の操作に進めると、変更前と変更後の比較が表示される
- 確定 … 差分を上から全部読んでから反映する。おかしい箇所があれば確定せず、チャットで指示を直してやり直す
差分画面のボタン
提案の「Apply」を押すと、変更前と変更後を並べた差分画面が開く。ボタンの意味はこうだ(2026年9月時点のソースコード)。
| ボタン | 押すと |
|---|---|
| Accept(上部) | 残っている変更をまとめてノートに反映する |
| Reject(上部) | 変更をまとめて取り消す |
| Accept Incoming | その箇所だけAIの案を採用する |
| Accept Current | その箇所だけ今の文を残す |
| Accept Both | その箇所は両方を残す |
箇所ごとに選べるので、良い部分だけ取り込める。全部を丸ごと採用するか捨てるかの二択ではない。
⚠️ いちばんやってはいけないのは、差分を読まずに確定することだ。それは「ノーチェックでAIにノートを書き換えさせる」のと同じで、気づかないうちに数式の記号が変わっていたり、微妙なニュアンスの文が削られていたりする。差分確認はこのプラグインが用意してくれた安全装置なのだから、素通りしたらもったいない。
覚えておくと速い操作
- ホットキー:コマンド「Open chat」(チャットを開く)と「Add selection to chat」(選んだ文章をチャットに入れる)に、設定 → ホットキーでキーを割り当てておく
- Vault全体から探させる:Macなら入力欄で Cmd + Shift + Enter を押すと、Vault全体を意味で検索したうえで答える
- よく使う指示はテンプレートにする:チャット欄で
/を打つと、保存したプロンプトのテンプレートを呼び出せる。「見出しを付けて整理、内容は足さない」のような定番の指示を登録しておくと毎回書かずに済む - 外部ツールとつなぐ(MCP):設定の「MCP」でMCPサーバー(AIに外部の道具を使わせる仕組み)を登録できる。ソースコード上、この機能はスマホでは使えない
学生の使いどころ3つ
1. 講義ノートの清書
授業中に走り書きしたノートを @ で読ませ、「見出し構造を付けて整理して。内容は足さないで」と指示する。書きなぐりの箇条書きが、復習に耐える形に整う。
講義ノートのDB化の運用と組み合わせると、「授業中は速度優先で書く→後でAIに整形させる→差分を見ながら復習する」という流れが作れる。差分を読むこと自体が復習になるのがこの使い方の良いところだ。
2. 表記ゆれ・体裁の統一
「このノートの『サーバ』を『サーバー』に統一して」「英単語の前後に半角スペースを入れて」のような機械的な修正は、AIに任せて差分で確認するのがいちばん速い。手作業の置換と違って文脈を見てくれる一方、⚠️ 機械的な作業ほど取りこぼしや過剰な修正が混ざりやすい。差分の見やすさが活きる場面でもある。
3. 復習用の要約セクションの追記
ノートの末尾に「3行まとめ」や「想定される試験の問い」を追記させる。本文を書き換えず足すだけなので、失敗してもダメージが小さく、最初の練習台に向いている。
どこまで任せるかは3段階で線を引く
便利になるほど「どこまで任せてよいか」の線引きが要る。作業の種類で分けるのが実用的だ。
- 体裁・整形・表記統一 → 任せてよい。差分をざっと確認すれば足りる。内容が変わらない作業はAIの得意領域だ
- 要約・言い換え・追記 → 任せてよいが、差分を精読する。内容に踏み込む作業は、事実と違うことをもっともらしく書く失敗がありえる。特に数式・定義・固有名詞は自分の目で照合する
- 課題・レポートの本文を書かせる → 任せない。提出物の成果物は自分で書くのが前提で、AIに頼むのは指摘や整形までにしておくのが、提出のルール上も学習の上でも安全だ
もう1つの線引きはプライバシーだ。外部のAIサービスを接続している場合、@ で読ませたノートの中身は提供元のサーバーへ送られる。
⚠️ Geminiの無料枠は、送った内容がGoogleの製品の改善に使われるとGoogleの料金ページに書かれている(有料枠では使われない。2026年9月時点)。READMEも、無料のAPIに機密の内容を送る前に提供元のプライバシーポリシーを確認するよう勧めている。
外に出せない内容を含むノートは読ませない、確実にしたければローカルのモデルに切り替える、という考え方はCopilotの記事で書いた3段階の線引きと同じだ。Smart Composerはローカルモデル接続に対応しているので、最後の逃げ道があるのは心強い。
動かないときのチェック3つ
- キーの貼り間違い・空白混入 … 前後に空白が入っていないか。発行し直して貼り直すのが早い
- 接続先とモデルの不一致 … Geminiのキーを入れたのに別サービスのモデルを選んでいる組み合わせ違い。接続先ごとにモデルを確認する
- 無料枠の上限 … 無料枠には回数の上限がある。Copilotと同じキーを使い回している場合、2つのプラグインで枠を分け合っていることを忘れずに。少し待つか、公式の料金ページで現在の枠を確認する
今日の要点
- Smart Composerの核は適用(Apply)。提案を差分で確認してからノート本体に反映でき、チャットからの書き写しが要らなくなる
- 使い分けはCopilotが読む、Smart Composerが書き換える。両方入れてよいが、Vault横断検索の索引は片方だけに作る
- 無料で始めるならGeminiの無料枠のキー。Copilotで取ったキーを使い回せる。ただし無料枠に送った内容はGoogleの製品改善に使われる
- READMEは活発な開発をしていないと明記している(最新版は2026年1月の1.2.9)。Gitやバックアップで戻せる状態にしてから使う
- 基本の流れは参照→指示→差分→確定。⚠️ 差分を読まずに確定しない。変えてほしくない部分まで指示するのがコツ
- 任せるのは体裁・整形まで。内容に踏み込む作業は差分を精読し、課題の本文は任せない
Copilot側の設定がまだの人はObsidian Copilotの設定から、プラグイン型以外も含めた連携の全体像はObsidianとAIを連携するから読んでほしい。
出典(公式ドキュメント・2026年9月27日時点)
- Smart Composer README(開発状況の注意、Connect your subscriptionの警告、Vault検索のキー、テンプレート、無料APIの注意)
- Smart Composer Releases(最新版1.2.9、2026年1月26日)
- 差分画面のソースコード(Accept・Reject・Accept Incoming・Accept Current・Accept Both)
- Gemini API の料金(無料枠のデータが製品の改善に使われること)
よくある質問
Smart Composerは無料で使えますか?
プラグイン自体は無料のオープンソースで、導入に費用はかかりません。ただしAIを呼ぶ部分は接続先のサービス次第で、外部のAIサービスを使うならそのAPIキーと利用料が必要です。2026年8月時点ではGoogleのGeminiに無料枠付きのAPIキーがあり、これを接続すれば課金なしで始められます。無料枠の条件は変わることがあるので、始める前に公式の料金ページを確認してください。自分のパソコンでローカルにモデルを動かす構成にも対応しており、その場合は外部への支払いは発生しません。
Copilotと両方入れてもいいですか?どちらか1つに絞るべきですか?
両方入れて共存させて問題ありません。役割が違うからです。Copilotはノートを読ませて要約や指摘をチャット欄に返させる「読む」道具、Smart Composerは提案を差分で確認してノート本体に反映する「書き換える」道具として使い分けると、それぞれの強みが活きます。ただし、どちらもVault横断検索用の索引を持てるので、両方で索引を作ると手間もAPIの消費も二重になります。横断検索はどちらか一方に決めておくのがおすすめです。
AIがノートを勝手に書き換えてしまうことはありませんか?
基本の操作フローでは、AIの提案はまずチャット側に出て、適用の操作をした段階で変更前と変更後の差分が表示され、確定して初めてノートに反映されます。つまり確認を挟む設計になっており、黙って書き換えられる作りではありません。とはいえ、差分を読まずに確定すれば事実上ノーチェックで書き換えたのと同じです。Obsidianはファイルがローカルにあるので、心配ならGitやバックアップと組み合わせて、いつでも前の状態に戻せるようにしておくと安心して使えます。