自宅サーバーの電気代は月いくら?【2026年10月版】

自宅サーバーの電気代は月いくら?【2026年10月版】

自宅サーバーの費用は、機械の値段に目が行きがちだ。だが24時間365日つけっぱなしにする以上、効いてくるのは電気代のほうになる。

しかもここは式に当てはめれば見積もれる部分だ。感覚で「たぶん高い/安い」と決めず、自分の契約単価で出してしまうのがいちばん早い。

結論 月額の目安は 消費電力(W) ÷ 1000 × 24 × 30 × 単価(円/kWh) で出る。⚠️ 使うのは実際に近い平均(負荷が軽い用途ならアイドル時の値)で、最大値は使わない。そして単価は自分の検針票で確認する(プランで違う)。10Wなら月200円台、60Wなら月1,300円台と、機械の選び方で桁が変わる。

目次 / INDEX

計算式

自宅サーバーの電気代を電卓で計算する
月の電気代(円)= 消費電力(W)÷ 1000 × 24時間 × 30日 × 1kWhあたりの単価(円)

÷1000 はワットをキロワットに直すためのもの、×24×30 で1か月の稼働時間になる。

例として、消費電力10W、単価31円/kWhの場合

10 ÷ 1000 = 0.01 kW
0.01 × 24 × 30 = 7.2 kWh
7.2 × 31 = 223.2 円

月およそ223円、年にすると約2,680円になる。31円は、家電の広告で電気代を表示するときの目安単価として全国家庭電気製品公正取引協議会が決めている値だ(2022年7月改定・税込)。

⚠️ ただしこの式で出るのは「一定の消費電力で動き続けた場合」の目安だ。実際は処理が走る時間だけ電力が上がる。正確に知りたければ、ワットチェッカー(コンセントに挟む電力計)で数日ぶんの平均を取るのが確実になる。

⚠️ 単価は自分の検針票で確認する

⚠️ ここを一般的な数字で済ませると誤差が出る。 電力量の単価は契約している会社とプランで違い、使用量の段階によって単価が変わる料金体系も一般的だ。

見るべきは、検針票の従量部分の単価だ。⚠️ 請求額全体を使用量で割るのは避けたほうがいい。基本料金はサーバーを足さなくても発生するので、その分だけ「サーバーを追加したことで増える金額」を多く見積もってしまう。

知りたいのは「1kWh多く使うといくら増えるか」だ。検針票で自分が使っている段階の従量料金の単価を見て、燃料費調整額と再エネ賦課金の単価を足すと実態に近くなる。この記事の例では31円を使うが、自分の値に置き換えて読んでほしい。

段階料金だと、サーバーの分は上の段の単価になる

段階制の料金では、使用量が増えるほど1kWhの単価が上がる。サーバーで増える電力は、家全体の使用量の上に積まれる。つまり、その月に自分がいる段階の単価がそのまま掛かる。

東京電力エナジーパートナーの従量電灯Bを例にすると、1kWhあたりの単価は次のとおり(2026年9月29日確認・税込)。

段階1か月の使用量単価10Wを足したときの月額(再エネ賦課金込み)
第1段階120kWhまで29.80円約245円
第2段階120kWh超〜300kWh36.40円約292円
第3段階300kWh超40.49円約322円

右の列は、2026年度の再エネ賦課金4.18円/kWhを足して計算した。燃料費調整額は月ごとに変わり、マイナスになる月もあるので入れていない。

⚠️ 一人暮らしでも第2段階に入る月は珍しくない。その場合、10Wの機械は31円で計算した223円より約3割(第3段階なら4割強)高くなると見ておくと外れにくい。

機械別のシミュレーション

単価31円/kWhで計算した場合の目安を並べる。

消費電力(アイドル時)月額年額該当しやすい機械
5W約112円約1,340円省電力の小型機・シングルボードコンピュータ
10W約223円約2,680円省電力寄りのミニPC
20W約446円約5,360円一般的なミニPC
40W約893円約10,700円少し前のノートパソコン・小型デスクトップ
60W約1,339円約16,070円古いデスクトップ
100W約2,232円約26,780円GPUを積んだ機械(負荷時はさらに上がる)

⚠️ これは消費電力が一定だった場合の試算だ。処理が走っている時間が長い用途(AIモデルを頻繁に動かすなど)は、これより上振れする。逆に何もしていない時間が大半なら、アイドル時の値がそのまま目安になる。

⚠️ 年額は「月額×12」で出しているため、実質360日ぶんの計算になる。365日で計算した場合より1〜2%ほど少なめに出る。

手元の機械の消費電力や自分の契約単価で試算したいときは、自宅サーバーの電気代計算ツールに数値を入れれば、1日・1か月・1年の電気代がその場で出る。

メーカー公表値で見る「待機」と「最大」の差

アイドル時の消費電力は仕様表に載っていないことが多い。数少ない例として、メーカーが待機時と最大の両方を公表している機種を並べる(単価31円で計算)。

機種待機・休止時最大・アクセス時出典の条件
Mac mini(2024・M4、16GB)4W(月約89円)65W(月約1,451円)Apple公表の待機中と最大
Synology DS224+(2ベイNAS)4.41W(月約98円)14.69W(月約328円)HDDハイバネーション時とアクセス時

Mac miniは待機と最大で16倍以上の開きがある。最大値で計算すると、月90円ほどの機械を月1,450円と見積もることになる。

⚠️ CPUの仕様表にあるTDPも本体の消費電力ではない。たとえばIntel N100のTDPは6Wだが、これはCPUの設計上の発熱の目安だ。メモリ、SSD、ファン、ACアダプタの損失は含まれないので、本体全体の値としては使えない。

ワットチェッカーで実測する

公表値がない機械は、測るのがいちばん早い。ワットチェッカーはコンセントと機器の電源プラグの間に挟む電力計で、消費電力(W)と積算の電力量(kWh)を表示できる。

測り方は次の4段階だ。

  1. サーバーの電源プラグをワットチェッカーに挿し、いつもどおりの構成で起動する
  2. 普段の処理(バックアップ、定期実行など)が含まれるように、3日〜1週間つけっぱなしにする
  3. 表示された積算の電力量(kWh)を、経過時間で割って平均のワット数を出す
  4. その平均値を上の式か電気代計算ツールに入れる

たとえば7日間(168時間)で1.68kWhだったなら、1,680Wh ÷ 168時間で平均10Wになる。瞬間の表示だけを見ると、たまたま処理が走った瞬間の値を拾ってしまう。

⚠️ スマホから電源を切れる機能を持つ製品もあるが、サーバーには使わないほうがいい。書き込み中に電源が落ちると、ファイルやディスクが壊れることがある。

古い機械を使い回すか、買うか

自宅サーバーの購入費と電気代の分岐点

「余っているパソコンがあるから電気代だけで済む」と考えがちだが、古い機械ほど消費電力が高いので、買ったほうが安くなる場合がある。

分岐点は引き算で出せる。

回収にかかる月数 = 新しい機械の購入費 ÷(今の機械の月額 − 新しい機械の月額)

例として、今が60W(月1,339円)、買おうとしているミニPCが10W(月223円)、購入費が40,000円のとき(⚠️ どちらも消費電力が一定と仮定した場合)

月の差額 = 1,339 − 223 = 1,116円
40,000 ÷ 1,116 ≒ 35.8 か月

約3年で購入費を回収する計算になる。購入費が5万円なら約45か月、6万円なら約54か月だ(N100クラスの実売は2026年8月時点で3.5万〜6万円。自分専用AIサーバーの記事で確認した)。

⚠️ この結果をどう読むかが大事だ。 これは電気代の差だけで見た分岐点で、新しい機械が3年以内に壊れないこと、古い機械に下取りなどの価値がないこと、性能差を考えないことを前提にしている。

そのうえで3年使い続ける確信があるなら買う価値がある。だが自宅サーバーは「立てたけど使わなかった」が非常に多い。続くかどうか分からない段階では、まず手元の機械で1か月試すほうが損をしない。

⚠️ また、古い機械には別のコストもある。ファンの音、置き場所、そして故障したときの手間だ。金額だけで決めない方がいい部分でもある。

消費電力を下げる

買い替え以外にも効く手はある。

  • 繋ぎっぱなしの周辺機器を外す。 ディスプレイ、使っていない外付けディスク、USB機器。サーバーは画面を繋いでおく必要がない
  • ディスクを必要な分だけにする。 HDDは常時回っていると数ワット単位で効いてくる
  • 画面出力と余計な機能を切る。 BIOSやOSの設定で、使わない無線やサウンドなどを無効にできる場合がある

HDDを止める設定

NASやHDDを積んだサーバーなら、アクセスがない間にHDDの回転を止める設定が効く。Synologyの製品では「HDDハイバネーション」という名前で用意されている。

上の表のDS224+では、アクセス時と休止時の差が約10Wある(単価31円で月およそ229円)。ただしこれはアクセスし続けた場合との差で、HDDが回っているだけの待機時との差はこれより小さい。実際に下がる額は、休止できた時間の割合で決まる。

⚠️ ただし休止させても、定期的なアクセスがあるとすぐ起きてしまう。止まる時間が短いと効果は小さいので、しばらく使ってからワットチェッカーで差を確かめるといい。

24時間動かす必要があるか

そして⚠️ いちばん効くのは「24時間動かす必要が本当にあるか」を見直すことだ。

  • 夜間だけバックアップを取る用途 → その時間だけ起動する運用にできる
  • 使うときだけAIモデルを動かす → 必要なときに起動するでも足りることがある

「サーバーだから24時間つけっぱなし」は前提ではない。 決まった時刻に起動・停止する設定にすれば、電気代はそのまま比例して下がる。LAN経由の信号で起動するWake on LAN(ネットワーク越しの電源オン)に対応した機種なら、使うときだけ起こす運用もできる。

借りる場合と比べる

自宅の電気代が出たら、借りた場合の月額と並べてみると判断しやすい。

  • 自宅 … 購入費(初期)+ 電気代(毎月)+ 交換ディスクやバックアップ先 + 自分で直す手間
  • 借りる … 月額のみ。回線・電源・ハードウェアの故障対応が込み(⚠️ OSやアプリの管理は借りる側でも自分の仕事)

⚠️ 電気代だけで比べると自宅が安く見えるが、手間を時間として数えると結論が変わることが多い。両者の比較はVPSと自宅サーバーはどちらを選ぶかに、サービス側の料金は開発用サーバーの比較にまとめている。

機械選びから外部アクセスまでの全体の流れは、自宅サーバーの始め方から辿れる。

まとめ

  • 月額の目安は 消費電力(W) ÷ 1000 × 24 × 30 × 単価 で出せる(⚠️ 一定の消費電力で動き続けた場合の値)
  • ⚠️ 使うのは実際に近い平均値。最大値で計算すると大幅に高く出る。平均はワットチェッカーの積算値を経過時間で割って出す
  • ⚠️ 単価は検針票の従量料金の単価を見る。段階料金なら、サーバーの分は自分がいる段階の単価で増える
  • 10Wなら月200円台、60Wなら月1,300円台。機械選びで桁が変わる
  • 買い替えの分岐点は 購入費 ÷ 月の差額(⚠️ 故障・下取り・性能差は含まない)。続くか分からないうちは手元の機械で試す
  • 画面と使わない周辺機器を外し、HDDは休止させる
  • 24時間動かす必要が本当にあるかを見直すのが、いちばん大きく下がる

機械の選び方はミニPCで自宅サーバーを作る、用途ごとの始め方は自宅サーバーの始め方にまとめている。

出典(2026年9月29日時点)

よくある質問

自宅サーバーの電気代はどう計算しますか?

消費電力(W)÷1000×24時間×30日×1kWhあたりの単価(円)で月額の目安が出ます。たとえば10Wの機械を単価31円で24時間動かすと、月およそ223円です。これは消費電力が一定だった場合の値なので、負荷の軽い用途ならアイドル時の値を、AI処理などが走る用途なら実測した平均値を使ってください。

1kWhあたりの単価はどこで確認できますか?

契約している電力会社の検針票か、会員ページで確認できます。見るのは従量料金の単価で、そこに燃料費調整額と再エネ賦課金の単価を足すと実態に近くなります。請求額全体を使用量で割る方法は、サーバーを足さなくても発生する基本料金が混ざるため、追加でかかる金額を多めに見積もってしまいます。

古いパソコンを使い回すのと、ミニPCを買うのはどちらが得ですか?

使う期間で変わります。古い機械は購入費ゼロですが消費電力が高く、ミニPCは購入費がかかる代わりに月々が安くなります。差額の電気代で購入費を回収できる月数を計算すれば分岐点が出ます。ただし1年以内にやめる可能性があるなら、まず手元の機械で試すほうが損をしません。

消費電力を下げる方法はありますか?

使っていない周辺機器を外す、ディスプレイを繋いだままにしない、不要なディスクを減らす、といった基本が効きます。加えて、常時動かす必要がない用途なら、決まった時間だけ起動する運用にすると大きく下がります。24時間動かすことが目的化していないか、一度見直す価値があります。

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