MIDIキーボードは必要か【2026年10月版】なしで打ち込む方法

「MIDIキーボードを買わないと打ち込みはできないの?」という疑問の答えは短い。なしでも打ち込める。
結論 音を1つずつ置く打ち込みなら、マウスとPCのキーボードで足りる。GarageBand・Logic Pro・Ableton Live・Cubaseには、PCのキーボードを鍵盤として使う機能が公式にある。買うのは、強弱を弾いて付けたい、両手で和音を入れたいと感じてから。その時も最初の1台は25〜49鍵・1万円前後で足りる。
目次 / INDEX
MIDIキーボードが要るかは、入力のしかたで決まる
MIDIキーボード(鍵盤を押した情報をパソコンに送る機械で、それ自体は音が出ない)がやっているのは、DAWに「どの音を、どの強さで、どれだけの長さで」を伝えることだけだ。同じ情報は、マウスやPCのキーボードからも送れる。
だから差が出るのは、音を1つずつ置くか、弾いて録るかのところになる。ピアノロール(横が時間、縦が音の高さの方眼に音を並べる画面)に置いていくなら、鍵盤がなくても作業量はほとんど変わらない。
| 比べること | なし(マウス・PCキーボード) | あり(MIDIキーボード) |
|---|---|---|
| 1音ずつ置く打ち込み | 不利にならない | 同じ |
| 弾いて録る | PCキーボードの1段ぶんの音域で弾ける | 鍵盤の数だけ弾ける |
| 強弱(ベロシティ) | キーで段階的に切り替えるか、後から直す | 押す強さのまま入る |
| 和音 | マウスで1音ずつ置く | 指が届く範囲で同時に押さえられる |
| 費用 | 0円 | 7千円弱から |
| 机の場所 | 要らない | 25鍵でも幅30cm台 |
ベロシティは「鍵盤を押した速さ」のことで、DAWではこれが音の強さになる。鍵盤なしで一番手間が増えるのは、この強弱の付け方だ。
なしで困らない人
- 音を1つずつピアノロールに置いて曲を作る
- ドラムのパターンを組むのが中心
- DTMが続くかどうか、まず無料のDAWで試したい
この3つに当てはまるなら、先にDAW選びにお金と時間を回した方がいい。無料で始められるDAWは学生のDAWおすすめ7選で比べている。
あった方がいい人
- ピアノ経験があって、弾いた方が速い
- 両手で和音とメロディを同時に入れたい
- 強弱を弾いたまま記録したい
ピアノが弾けるかどうかは、決め手の1つでしかない。弾けなくても、和音を鳴らしながら音を探したい人には鍵盤が役に立つ。逆に弾ける人でも、ピアノロールで組むのが好きなら買わずに済む。
なしで打ち込む方法は3つ
鍵盤がない状態で使える入力は、マウス、PCのキーボード、ステップ入力の3つ。どれもDAWに最初から入っている機能で、追加の費用はかからない。
ピアノロールにマウスで置く
一番シンプルなのがこれ。Logic Proのマニュアルには、ピアノロールで鉛筆ツールを使ってノートを追加できると書かれている。
手順は、鉛筆ツールを選んで、音を置きたい位置をクリックするだけ。マウスボタンを押したまま左右にドラッグすると、置くのと同時に音の長さも決められる。
速いフレーズや、人の手では弾けない細かい連打もそのまま置ける。ベースやドラムをマウスで組み、ギターや歌だけ録音する作り方も普通にある。
PCのキーボードを鍵盤にする
ノートPCのキーボードの1段を白鍵、その上の段を黒鍵として鳴らす機能だ。リアルタイムで弾いて録れるので、メロディを思いついた順に入れたいときに速い。
名前と開き方はDAWごとに違うが、Command+KやMキーのように1つのショートカットで呼び出せるものが多い。
ステップ入力で1音ずつ止めて入れる
ステップ入力は、再生を止めたまま1音ずつ入れていく方式だ。Logic Proのマニュアルには「リアルタイムで録音していなくてもMIDIノートを挿入できます」とある。
テンポに追いつく必要がないので、弾けない人でも使える。Logic Proではミュージックタイピングのキーボードからもステップ入力できる。
PCのキーボードを鍵盤にする機能(DAW別)
各DAWの公式マニュアルで確認できた範囲をまとめた。Cubaseはバージョン11と12のヘルプの記載で、最新の15で同じ操作かは確認できていない。
| DAW | 機能の名前 | 開き方 | オクターブ切替 | 強弱の切替 |
|---|---|---|---|---|
| GarageBand(Mac・無料) | ミュージックタイピング | ウインドウ>ミュージックタイピングを表示(Command+K) | Z / X | C / V |
| Logic Pro | ミュージックタイピング | ウインドウ>ミュージックタイピングを表示(Command+K) | Z / X | C / V |
| Ableton Live 12 | Computer MIDI Keyboard | コントロールバーのボタン、Optionsメニュー、Mキー | Z / X | C / V(20刻み) |
| Cubase(v11・v12) | オンスクリーンキーボード | スタジオ>オンスクリーンキーボード(Alt/Opt+K) | ← / → | ↑ / ↓ |
| FL Studio | Typing keyboard to Piano keyboard | ツールバーの項目(Ctrl+T) | 設定項目「Octave」あり | 公式で確認できず |
GarageBand・Logic Pro(ミュージックタイピング)
GarageBandとLogic Proは操作がほぼ同じで、Command+Kでミュージックタイピングが開く。ZとXでオクターブを下げ上げし、CとVで強弱を下げ上げする。
Tabキーはサスティン(ピアノのペダルと同じく音を伸ばす操作)のオン・オフだ。Logic Proでは、1と2のキーでピッチベンド、4〜8のキーでモジュレーションも動かせる。
画面の鍵盤をクリックするオンスクリーンキーボードもある。キーの下の方をクリックすると強く、上の方だと弱く鳴る。GarageBandで覚えた操作はLogic Proにそのまま移るので、無料で始めて後から乗り換えても困らない。
Ableton Live(Computer MIDI Keyboard)
Ableton Live 12では、コントロールバーのボタンかMキーでオンにする。中段の文字キーが白鍵で、左端がC3から始まり、上の段が黒鍵になる。
ZとXでオクターブ、CとVで強弱を切り替える。強弱は20、40、60と20刻みで変わる。なお、マニュアルのキー位置の説明はUS配列のキーボードを前提にしている。
注意点として、オンの間は画面の操作に割り当てたキーを奪う、とマニュアルに書かれている。打ち込み以外の操作をするときはMで切っておく。学割で安く買う方法は学生のDAWおすすめ7選の学割の比較にまとめた。
Cubase(オンスクリーンキーボード)
Cubaseでは「スタジオ」メニューのオンスクリーンキーボードを使う。ヘルプには、MIDIキーボードが繋がっていないときに便利な機能として紹介されている。
表示の形式は2つある。コンピューターキーボード形式は2列のキーで入力し、ピアノ鍵盤形式に切り替えると最大7オクターブの広い音域を使える。左右の矢印でオクターブ、上下の矢印で強弱を変える。
オンの間は、通常のキーボードショートカットの大半が無効になる。
FL Studio・Fender Studio Pro(旧Studio One)
FL Studioは、ツールバーの「Typing keyboard to Piano keyboard」でPCのキーボードを鍵盤にできる。公式マニュアルの記載は1行だけで、キーの並びやMacでのショートカットは確認できていない。
Studio Oneは2026年1月にFender Studio Proへ名前が変わった。改名前のStudio One Pro 7には「QWERTY Keyboard」という機能があると、PreSonusの公式サポートに案内がある。現行のFender Studio Pro 8での名前と操作は確認できていないので、使う前にヘルプで調べてほしい。
iPhone・iPadを鍵盤の代わりにする
手元にiPhoneやiPadがあるなら、画面を鍵盤として使う手もある。ただし、使えるDAWはAppleのものに限られる。
Logic Remote(Mac専用)
Logic Remoteは、iPhoneやiPadからMacのGarageBand・Logic Pro・MainStageを操作するAppleのアプリだ。デバイスを横向きにして「表示」からキーボードを選ぶと、鍵盤をタップして演奏できる。
鳴る音は、Mac側で選んでいるトラックの音源になる。つなぐ先はこの3つのApple製アプリなので、AbletonやCubaseの鍵盤代わりには使えない。
iPadのGarageBandで作る
PCを使わず、iPadのGarageBandだけで作る方法もある。Keyboardの画面でピアノやシンセの鍵盤をタップして弾ける。
和音が押さえられない人には、コードストリップが使える。1回のタップでコードやベース音、伴奏を鳴らせる。iPadそのものを買うか迷っているなら、大学生にiPadは必要かで要る人の条件を書いた。
Bluetooth MIDIはMacとWindowsで事情が違う
Macでは、Bluetooth MIDIの機器を「Audio MIDI設定」アプリから繋ぐ。システム設定のBluetoothではない点で詰まりやすい。
- Audio MIDI設定で「ウインドウ」>「MIDIスタジオを表示」を選ぶ
- ツールバーの「Bluetoothを構成」をクリックする
- 機器をペアリングモードにして、一覧から選んで「接続」を押す
Windowsは今のところ有線のUSBで繋ぐのが確実だ。MicrosoftのWindows MIDI Servicesの資料には、Bluetooth LE MIDI機器を繋ぐ機能を含む設定アプリを、2026年11月に一般向けに出す予定と書かれている。
PCキーボード入力でできないこと
なしで始められるとはいえ、PCのキーボードには鍵盤の代わりになりきれない部分がある。どれも公式マニュアルの記載から分かることだ。
- 強弱は段階で切り替える。Abletonなら20刻みで、1音ごとに変えるにはその都度CかVを押す
- 一度に押せる範囲が狭い。白鍵は1段だけなので、両手の和音は入れにくい
- 他のショートカットとぶつかる。AbletonもCubaseも、オンの間は一部のキーが使えなくなる
鍵盤なら、押す強さがそのままベロシティになる。GarageBandのマニュアルにも、キーボードの感度を変えると、同じタッチで入るベロシティが変わると書かれている。
強弱を後から1音ずつ直す時間が気になり始めたら、鍵盤で弾いて録った方が早い。
買い時はこの4つ
なしで打ち込みを続けてみて、次のどれかに当てはまったら買い時だと思う。
- C・Vキーで強弱を何度も切り替えている
- 両手で和音とメロディを入れたくなった
- 音色を選ぶとき、鳴らしながらマウスで切り替えたい
- ピアノ経験があり、弾いた方が明らかに速い
買うなら最初の1台は、25〜49鍵・1万円前後で足りる。安いものは7千円弱からある。鍵盤数ごとの違いと10台の比較はDTM初心者向けMIDIキーボード10選にまとめた。
筆者は88鍵のRoland A-88MKIIをLogic Proで使っていて、その前はM-Audio Keystation 61を使っていた。88鍵は場所も値段も大きいので、最初から選ぶ必要はない。
鍵盤の次に揃えるなら、録音と音出しに使うオーディオインターフェースと、DTM向けのモニターヘッドホンになる。
出典(2026年10月5日時点)
- Mac用Logic Proのピアノロールエディタでノートを追加する(Apple)
- Mac用Logic Proでソフトウェア音源を演奏する(Apple)
- Mac用Logic Proでステップ入力録音を使う(Apple)
- Mac用GarageBandでソフトウェア音源を再生する(Apple)
- Ableton Reference Manual Version 12: Routing and I/O
- Cubase Elements 12 ヘルプ: オンスクリーンキーボード(Steinberg)
- Cubase Pro 11 ヘルプ: オンスクリーンキーボードのオプション(Steinberg)
- FL Studio Online Manual: Toolbar / Panels(Image-Line)
- Studio One becomes Fender Studio Pro(Sound On Sound)
- Studio One Pro 7: Setup The QWERTY Keyboard As A MIDI Keyboard(PreSonus)
- iPhone用Logic Remoteでキーボードを演奏する(Apple)
- iPad用GarageBandのKeyboardを演奏する(Apple)
- MacのAudio MIDI設定でBluetooth MIDI装置を設定する(Apple)
- Windows MIDI Settings(Microsoft)
よくある質問
MIDIキーボードがないと打ち込みはできない?
できる。ピアノロールにマウスで音を置く方法と、PCのキーボードを鍵盤として使う機能がある。GarageBandとLogic Proはミュージックタイピング(Command+K)、Ableton LiveはComputer MIDI Keyboard(Mキー)、Cubaseはオンスクリーンキーボードが公式の機能。
ピアノが弾けなくてもMIDIキーボードは要る?
1音ずつ置いて曲を作るなら、なくても困らない。ステップ入力やマウス入力は弾けなくても使える。弾けるかどうかより、強弱を弾いて付けたいか、両手で和音を入れたいかで決めるといい。
電子ピアノはMIDIキーボードの代わりになる?
USB端子やMIDI端子があって、パソコンにMIDIを送れる機種なら代わりになる。端子の有無は機種ごとに違うので、取扱説明書で確かめてから繋ぐ。