トロンボーンにエフェクター【2026年8月版】ワイヤレス化して音を作る

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トロンボーンにエフェクターをかけたい、できればケーブルも無くしたい。そう思って調べても、ギター向けの情報しか出てこない。管楽器で同じことをやろうとすると、マイクをどう繋ぐのか、ワイヤレスとエフェクターは繋がるのか、というところで止まる。

筆者はこの構成を実際に組んで使っている。ワイヤレスは audio-technica の System 10(受信機 ATW-R1100J +ボディパック送信機 ATW-T1001J)、エフェクターは ZOOM の A1X。だからこの記事の配線は、カタログを突き合わせただけの机上の話ではない。

この記事では、マイク → ワイヤレス送信機 → 受信機 → エフェクター → PA(会場の音響設備。ここに送ると客席のスピーカーから鳴る)という信号の流れを、実際に使っている機材で、公式仕様と突き合わせながら組み立てる。トロンボーンで書いているが、サックスでもトランペットでも考え方は同じだ。

先に結論を書く。受信機の出力とエフェクターの入力はどちらも標準フォンなので、シールド1本で挿さる。ただし挿さることと、音が良い状態で入ることは別だ。受信機の出力は最大6dBV(公式値)で、楽器用エフェクターの入力には大きい場合がある。まず受信機の出力レベルを絞ってから、歪まない位置まで上げる

この記事で扱うワイヤレスシステムとエフェクターは、筆者が実際に使っているものです。価格・仕様は2026年7月に各メーカーの公式ページと楽天市場で確認しました。ほかに愛用している機材は評価基準のページに載せています。この記事にはアフィリエイト広告(PR)を含みます。

信号の流れを先に決める

やることは「アコースティック楽器を電気信号に変えて、加工して、出す」だけだ。順番はこうなる。

⚠️ 1つ注意がある。マイクが出す信号は、ギターが出す信号よりずっと小さい。だから「マイクを繋げばギターと同じ」ではなく、間で信号を持ち上げる必要がある。その役目をするのが、下で出てくるマイクアダプター(MAA-1)やワイヤレスの送信機だ。

役割何を使うか
① マイク楽器の音を電気信号にする管楽器用のクリップオンマイク
② 送信機信号を電波で飛ばすボディパック送信機(ATW-T1001J)
③ 受信機電波を受けて音声出力に戻すATW-R1100J
④ エフェクター音を加工するZOOM A1X FOUR
⑤ 出力PA・アンプ・ヘッドホンへ標準フォンのケーブル

②③を省いても成立する。有線でよければ、①のマイク →(付属のマイクアダプター MAA-1)→ ④のエフェクターと繋げばいい。マイクをエフェクターの標準フォン入力に直接挿すのではなく、間にMAA-1を挟むのがポイントだ。むしろそこから始めるほうが安く、確実になる。

④エフェクター:管楽器はメーカーが想定している

「ギター用のエフェクターを管楽器に流用する」と思われがちだが、アコースティック楽器向けのモデルなら管楽器はメーカーの想定内だ。

ZOOM A1X FOURの公式ページには、対応する楽器として 「アコースティックギターをはじめ、サックス、トランペット、バイオリン、ハーモニカ、ウッドベースなどのアコースティック楽器全般に幅広く対応」 と書かれている。トロンボーンの名指しこそないが、同じ金管のトランペットが挙がっているので、想定から外れた使い方ではない。

公式仕様から要点を拾うとこうなる。

  • エフェクト90種類(A1 FOURは82種類)
  • マイクアダプター MAA-1 が付属。ダイナミックマイクにも、ファンタム電源+48Vが必要なコンデンサーマイクにも対応
  • 入力は標準モノラルフォーンジャックとステレオミニ(AUX IN)
  • 出力は標準ステレオフォーンジャック(ライン/ヘッドフォン兼用)
  • 最長30秒のルーパー(演奏を録音してその場で繰り返し再生する機能。1人で重ねられる)、68種類のリズムパターン
  • エクスプレッションペダルでボリューム・ピッチ・ワウをリアルタイムに操作(A1X FOURのみ。A1 FOURには付いていない)

⚠️ A1 FOUR と A1X FOUR の主な差は、エクスプレッションペダルの有無とエフェクト数(82/90)だ。吹きながら足でワウやボリュームを動かしたいなら A1X FOUR、卓上で音を作るだけなら A1 FOUR でいい。

ここがいちばん大事:マイクアダプターが付いている

管楽器でつまずくのは「マイクをどう挿すか」だ。エフェクターの入力は楽器用(標準フォン)で、マイクの出力(XLR)とはそのままでは繋がらない。

A1X FOURにはマイクアダプター MAA-1 が付属していて、これがXLRのマイクを受けて、ファンタム電源+48Vまで供給する。別売りのマイクプリアンプを買わなくていいということで、ここが管楽器で使うときの実質的な決め手になる。

②③ワイヤレス:受信機の出力端子を見る

ワイヤレス化で確認すべきなのは、受信機がどんな端子で出力するかの1点だ。ここがエフェクターの入力と合わなければ繋がらない。

audio-technica ATW-1101(System 10)の公式仕様はこうなっている。

  • 受信機 ATW-R1100J + 2ピースタイプ送信機 ATW-T1001J のセット
  • 2.4GHz帯。送信機と受信機が双方向で通信して、干渉する周波数を自動で避ける。最大8chまで同時使用
  • 音声サンプリング 24bit/48kHz、ダイナミックレンジ109dB、歪率0.05%以下
  • 通信距離30m(見通し・妨害電波が無い条件)
  • 受信機の音声出力:XLR3ピン(バランス、0dBV)と φ6.3mmモノラルジャック(アンバランス、6dBV)
  • 送信機:単3電池2本で約6時間、送信出力10mW、約100g(電池を除く)

φ6.3mmモノラルジャック=標準フォン(先端と根本の2極。TSとも呼ぶ)なので、A1X FOURの標準モノラルフォーン入力とシールド1本で挿さる。ここに変換やDIボックスは要らない。

⚠️ ただしDIが不要なのはこの区間だけだ。エフェクターからPA卓まで距離がある場合は、アンバランス(ノイズに弱い伝送方式)のまま長く引くとノイズを拾いやすい。DIボックス(アンバランスの信号を、ノイズに強いバランス伝送に変換してPAへ送る箱)は、そこで必要になることがある。

⚠️ 端子が合う=レベルが合う、ではない。受信機の標準フォン出力は公式値で最大6dBVあり、楽器レベルを想定したエフェクターの入力には大きい。音が割れる・歪むときは、まず受信機側の出力を下げる。取扱説明書で調整方法を確認してほしい。

⚠️ 2.4GHz帯はWi-Fiと同じ帯域だ。自動で干渉を避ける仕組みが入っているとはいえ、無瞬断を保証するものではない。Wi-Fiルーター・Bluetooth機器・電子レンジが密集する環境では条件が悪くなる。本番と同じ場所で、同じ機器を全部動かした状態で試すのが確実だ。受信機は見通しの良い位置に置く。

⚠️ 通信距離30m・最大8ch はメーカーの試験条件での値で、現場で保証される数字ではない。

⚠️ 技適マークのある国内向けモデルを、改造せずに使う。この帯域のワイヤレスマイクは免許なしで使えるが、海外版や改造品は電波法違反になりうる。航空機内や医療機関など、施設ごとに電子機器の使用ルールがある場所では、その指示に従う

⚠️ 電池が約6時間。長時間の練習や本番では予備の単3電池を持っておく。

①マイク:ここだけは自分の機材に合わせる

配線とエフェクターの部分は筆者の環境で動いているものをそのまま書いているが、マイクだけは「これを買えば大丈夫」と言えない。送信機のコネクターは機種ごとに違い、手持ちのマイクがそのまま挿さるとは限らないからだ。買う前に確認するのは次の3点になる。

  • 送信機側の端子の形状(ボディパック送信機は専用端子のことが多い)
  • どんな電源が要るマイクか(ファンタム電源、電池、専用電源など機種で違う。送信機やMAA-1から供給できるかを確認する)
  • 管楽器用のマウントがあるか(ベルに挟むクリップやグースネックが付属するか)

有線で始めるなら、A1X FOUR付属のMAA-1がXLR(3ピンの業務用マイク端子)を受けてファンタム+48Vも供給できるので、ワイヤレスより選べるマイクの幅は広い。

⚠️ ただしXLRは端子の形でしかない。形が合っても、必要な電源や出力レベルが機種ごとに違う。コンデンサーマイクなら必ずファンタム+48V、というわけでもない(電池で動くもの、専用の電源が要るものがある)。対応していない機器に+48Vを流すと故障の原因になるので、マイク側の取扱説明書で「必要な電源」と「MAA-1やお使いの機材と組み合わせられるか」を確認してから買ってほしい。抜き差しするときはファンタム電源をオフにする。

音を作るときの考え方

エフェクターは種類が多くて迷うが、管楽器で最初に効くのは次の3つだ。

  • リバーブ:響きを足す。まずこれだけで「それっぽく」なる。かけすぎると輪郭が消える
  • ディレイ:やまびこ。ソロで空間を埋めたいときに効く
  • オクターブ/ピッチ:音域を足す。トロンボーンの下にもう1オクターブ重ねると厚みが出る

⚠️ 原音が良くないとエフェクターでは救えない。マイクの位置(ベルからの距離と角度)で音は大きく変わるので、エフェクトを足す前にマイク位置を詰めるほうが結果は早い。

買うなら:必要なものを先に並べる

⚠️ 下の2つを買っただけでは音は出ない。マイクとケーブル、電源が要る。

必要なもの有線で始める場合ワイヤレスにする場合
エフェクターZOOM A1X FOUR同左
マイク管楽器用(XLR・MAA-1に対応するもの)送信機の端子に合うもの
マイクを繋ぐもの付属のMAA-1ボディパック送信機(ATW-1101に同梱)
ワイヤレス不要ATW-1101(受信機+送信機)
ケーブルマイク用XLRケーブル受信機→エフェクターのシールド
電源A1X FOUR用の電池またはACアダプター、MAA-1用の電池左に加えて送信機用の単3×2
出力先ヘッドホン、アンプ、PA卓のいずれか同左

マイクは自分の送信機・アダプターに合うものを確認してから買う。ここを飛ばすと、届いてから挿さらないことになる。

👍 良い点

  • 公式に「サックス、トランペット」などアコースティック楽器全般への対応を明記
  • ファンタム電源+48V対応のマイクアダプター MAA-1 が付属し、マイクプリを別途買わなくていい
  • エフェクト90種類。エクスプレッションペダルで吹きながら操作できる
  • 最長30秒のルーパーと68種類のリズムパターンで、1人でも練習が成立する
  • 出力がライン/ヘッドフォン兼用で、夜の練習にも使える

👎 気になる点

  • ペダルが要らないなら、A1 FOUR(エフェクト82種類)のほうが安く済む
  • マイクは別途必要で、本体だけでは音を入れられない
  • アコースティック楽器向けなので、歪み系はギター用モデルほど多くない
  • 電池駆動だと持ち時間が限られる(据え置きならACアダプターが要る)
  • 公式ページにトロンボーンの名指しはない(トランペットは記載あり)
1ZOOM A1X FOUR約16,500円(8月20日時点)

筆者が管楽器に使っているのはZOOMのA1X(アコースティック楽器用マルチエフェクター)で、現行モデルがこのA1X FOUR。ファンタム電源に対応したマイクアダプターが付属しているので、対応するマイクとケーブル・電源を用意すれば音を作れる。ワイヤレスを足すのは、有線で使ってみて「ケーブルが邪魔だ」と思ってからでいい。

こんな人に:まずエフェクターを試したい・卓上と本番の両方で使いたい

👍 良い点

  • 受信機にφ6.3mmモノラル出力があり、エフェクターとシールド1本で繋がる
  • 2.4GHz帯で干渉する周波数を自動で回避。最大8chまで同時使用できる
  • 音声は24bit/48kHz、ダイナミックレンジ109dB・歪率0.05%以下
  • XLRバランス出力もあるので、PA卓へ直接送る使い方もできる
  • 送信機は約100g(電池を除く)で、装着したまま動ける

👎 気になる点

  • マイクは別売り。送信機の端子に合うものを選ぶ必要がある
  • 2.4GHz帯なのでWi-Fiと同じ帯域を使う。混雑した場所では事前確認がいる
  • 電池は単3×2で連続約6時間。予備が要る
  • 通信距離30mは「見通し・妨害電波なし」の条件での値
  • エフェクター単体より高く、合計が5万円前後になる
2audio-technica ATW-1101(System 10)約35,200円(8月20日時点)

筆者が使っているのはこれ。受信機ATW-R1100Jと2ピースタイプ送信機ATW-T1001Jのセットで、受信機の標準フォン出力をエフェクターに繋いでいる。周波数の設定を自分でやらなくていいので、機材に慣れていないうちほど効く。レベルだけは合わせる必要がある(下げてから上げる)。

こんな人に:動きながら吹きたい・ステージでケーブルを無くしたい

よくある失敗

  • ギター用の歪み系エフェクターから入った。管楽器は原音の情報量が多く、歪ませると何を吹いているか分からなくなりやすい。リバーブとディレイから始めるほうが失敗しない。
  • マイクプリが必要なことに気づかず買った。コンデンサーマイクにはファンタム電源が要る。A1X FOURは付属のMAA-1で供給できるが、エフェクターによっては別途必要になる。
  • 端子の形が合わなかった。ワイヤレス送信機は専用端子のことが多く、手持ちのマイクがそのまま挿せるとは限らない。買う前に端子の形状を確認する
  • 本番当日に電池が切れた。連続約6時間なので、リハから通すと本番中に切れることがある。予備の単3電池を持つ。
  • Wi-Fiだらけの場所で音が途切れた。2.4GHz帯はWi-Fiと同居する。本番と同じ場所で事前に試す

まとめ

管楽器にエフェクターをかけるのは、マイクで電気信号にしてしまえば、あとはギターとほぼ同じだ。難しく見えるのは、間に入る端子と電源とレベルの話が調べにくいからでしかない。筆者はこの構成で実際に鳴らしているので、そこは心配しなくていい。

  • まずはエフェクター+マイクの有線から。A1X FOURはマイクアダプター付属で、これだけで音を作れる
  • ワイヤレスは後から足す。受信機の標準フォン出力とエフェクターの標準フォン入力が繋がるので、構成を作り直す必要はない
  • エフェクトはリバーブとディレイから。原音とマイク位置を詰めるほうが先

マイクそのものの選び方は、こちらの記事にまとめている。

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よくある質問

トロンボーンにエフェクターはかけられますか?

かけられます。ただしマイクが出す信号はギターより小さいので、間でマイクアダプターなどを使って持ち上げる必要があります。ZOOMのA1X FOURは公式ページで「サックス、トランペット、バイオリン、ハーモニカ、ウッドベースなどのアコースティック楽器全般に幅広く対応」と明記されていて、管楽器はメーカーが想定している使い方に含まれます。

ワイヤレスとエフェクターは繋がりますか?

繋がります。audio-technica ATW-1101の受信機(ATW-R1100J)は出力にφ6.3mmのモノラルジャック(標準フォン)を持ち、ZOOM A1X FOURの入力は標準モノラルフォーンジャックです。受信機の出力からエフェクターの入力へ、シールド1本で挿さります。ただし受信機の出力は最大6dBVあり楽器用の入力には大きい場合があるので、受信機側の出力を絞ってから合わせてください。

全部でいくらかかりますか?

ワイヤレスシステム(ATW-1101)が35,200円、エフェクター(A1X FOUR)が16,500円で、合計約5万円です(2026年7月・楽天で確認)。これに管楽器用のマイクが別途必要になります。ワイヤレスをやめて有線にすれば、A1X FOURに付属のマイクアダプター(MAA-1)経由でマイクを繋げるので、エフェクター+マイク+ケーブル+電池で始められます。

まず何から買えばいいですか?

エフェクターとマイクからです。A1X FOURにはファンタム電源+48V対応のマイクアダプター(MAA-1)が付属しているので、対応するマイクを繋げば有線で音を作れます。ただしマイク側が必要とする電源は機種で違うので、取扱説明書で確認してください。ワイヤレスは「動きたい」「ケーブルが邪魔」という不満が出てから足すのが順番として無駄がありません。